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東京地方裁判所 昭和50年(特わ)406号 判決

本店所在地

東京都品川区西五反田八丁目二番二号二〇一

株式会社香取事務所

(右代表者代表取締役香取啓亮)

本籍

東京都新宿区市ケ谷左内町八番地

住居

千葉県千葉市東寺山町九三七番地の六

会社役員

香取啓亮

大正一〇年七月一八日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき当裁判所は、検察官清水勇男出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告法人株式会社香取事務所を罰金七〇〇万円に、被告人香取啓亮を懲役六月に各処する。

被告人香取啓亮に対し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人株式会社香取事務所(以下単に被告会社という)は、東京都品川区西五反田八丁目二番二号二〇一に本店を置き、不動産の売買等を営業目的とする資本金三〇〇万円の株式会社であり、被告人は右会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、仮名預金を設定する等の方法により所得を秘匿したうえ、昭和四七年一一月六日から昭和四八年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八、九五七万六、一四三円あつたのにかかわらず、昭和四八年一二月二八日ころ東京都港区高輪三丁目一三番地二二号所在の所轄品川税務署において同税務署長に対し、所得金額が一二一万六、六三五円であり、これに対する法人税額は、五五万二、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額三、二八六万八、七〇〇円と右申告税額との差額三、二三一万六、二〇〇円を免れたものである。(修正損益計算書および税額計算書は別紙(一)(二)のとおり)

(証拠の標目)

判示全般の事実につき

一、被告人の検察官に対する昭和五〇年三月五日付供述調書

一、登記官作成の登記簿謄本

一、押収してある総勘定元帳一綴(当庁昭和五〇年押第九二五号の一)、確定申告書一袋(同押号の二)

別紙(一)〈1〉受取手数料につき

一、被告人の収税官吏に対する昭和四九年八月二〇日付質問てん末書

一、車谷弘の収税官吏に対する質問てん末書および検察官に対する供述調書

一、桜井祥三の収税官吏に対する質問てん末書二通

別紙(一)〈2〉金利収入につき

一、被告人の収税官吏に対する昭和四九年一一月六日付および同年一二月三日付各質問てん末書

一、大蔵事務官本田和司作成の金利収入調査書と題する書面

別紙(一)〈3〉謝礼金につき

一、大蔵事務官本田和司作成の謝礼金調査書と題する書面

別紙(一)〈35〉受取利息につき

一、被告人の収税官吏に対する昭和四九年一一月六日付質問てん末書

一、小賀坂晃、大久保和磨、沖勉各作成の各証明書と題する書面(三通)

一、大蔵事務官本田和司作成の預金調査書と題する書面

別紙(一)〈39〉雑損につき

一、大蔵事務官本田和司作成の雑損調査書と題する書面

(法令の適用)

被告会社の判示所為は法人税法一六四条一項、一五九条に、被告人の判示所為は同法一五九条に該当するところ、被告会社につき所定金額の範囲内で、罰金七〇〇万円に処し、被告人につき所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で懲役六月に処し、なお被告人に対し情状により刑法二五条一項を適用して、この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 安原浩)

別紙(一)

修正損益計算書

株式会社 香取事務所

自 昭和47年11月6日

至 昭和48年10月31日

別紙(二)

税額計算書

株式会社 香取事務所 昭47.11.6~昭48.10.31

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